発酵の力への信頼が生む、おいしさと安らぎ〜発酵料理研究家 青木光左代さん

カテゴリ名:
インタビュー

先人たちの知恵であり身体にも優しいとあって、近年改めてそのパワーが見直されている発酵食品。

大学で学んだ知識を基に、発酵食品を利用することで楽しておいしく、元気になるヒントをネットや教室から精力的に発信する、青木光左代さんにお話を伺った。

青木光左代さん プロフィール :発酵をこよなく愛する3児の母。東京農業大学醸造科卒。

調理師免許、フードコーディネーター、ライフオーガナイザー1級取得。

醸造学の知識と子育て体験から、「こねないパン」をはじめ様々な発酵料理を開発し、その魅力を多くの人に伝えている。

  • 段取りよく、簡単に! 発酵への信頼が生む、時短レシピ

オーブンでつくる発酵4品:つくね、鯵のオーブン焼き、具沢山オムレツ、ニンジンサラダ HP発酵家族の料理教室 より

青木光左代さんの朝は、ニンジンをスライサーでおろすことから始まる。細く切られたニンジンは飛び散るから、ポリ袋の中でおろす。そのまま塩麹でもんでおけば、夕方帰ってきて、卵と炒めても、サラダに入れても、たちまち一歩進んだうま味が加えられる。

スライサーでおろす時間すらない時は、縦に3等分したニンジンとスライサーをタッパーに入れて出かける。帰宅後、夕食を準備する傍らで子どもにスライスしてもらう。食材、ツール、容れ物はすぐに取り出せる場所に置いておくのも、時短のポイントだ。

発酵食品を使った簡単な料理を聞けば、レシピだけでなく準備から段取り、その後の展開までの全てを一連の流れで教えてもらえる。

「レシピ一品だけを本やネットで調べても、他のおかずはどうするの、って思うでしょ?いっぺんにいろいろできたほうがいいよね」

光左代さんの考えは実に合理的でありながら、作る人と食べる人への愛に溢れている。

「かつお節って、油と相性がいいの。炒め物でも、先にフライパンに油とかつお節を入れてから、火をつける。カリッとしてきたらそこに野菜を入れて炒めると、すごく風味がいい。半分をお皿に盛ったら、残ったフライパンには水を入れて、明日のスープにすると、これもおいしいの。いっぺんに2回分の料理ができちゃう」

「甘酒は、みりんと同じように使えばいいんです。みりんの代わりに、倍量の甘酒。みりんと一味違うマイルドな甘みを楽しめる上に、乳酸菌や必須アミノ酸といったみりんには含まれない栄養素も加わっちゃう。子どもならつぶつぶが気になるかもしれないから、まとめてブレンダーでピューレ状にしておくと抵抗なく食べてくれますよ。ちょっといつもと違うだけで食べてくれないこともあるけど、それってすごくストレスになる。前もってちょっとの手間をかけるだけで、お互いにストレスを減らせるよね」

メモをしながら、ライターにも早速試してみたいという気持ちが沸いてくる。次々に繰り出されるアイデアの根底にあるのは、発酵を深く知る中で得た確信と安心感だ。

  • 「おいしいごはん」はママの自己肯定感を高める

彩り豊かな、「発酵ワンプレート」 塩麹ベーグル、かぼちゃポタージュ、サラダ、フムス(豆をペースト状にしたもの)  HP発酵家族の料理教室 より

上から11歳、7歳、3歳の3人の子育てをする光左代さん。ちょうど第3子が生まれたばかりのころが、精神的に一番追い詰められていたという。

「あの頃は、お迎えに行くのがつらくて。保育園の先生に、子どもの様子やできなかったことなどの報告を受けた帰り道は、気持ちが沈んで、子どもの手をひきながら『自分はちゃんとできてる?』と自問してばかりいました」

自身の経験から、おいしいごはんを作ることでもママの自己肯定感は高められるのでは、と考えた光左代さん。レシピなしで簡単においしいごはんが作れたら、心に余裕も生まれて育児も仕事も楽しくなる。そこで大きな力になったのが、光左代さんが大学で専攻した醸造の知識だった。

  • ベースにあるのは、醸造科で学んだ知識

紅麹を入れた、ピンク色の甘酒 HP発酵家族の料理教室 より

子どものころから、日本酒や焼き立てのパンなどの、発酵した香りが好きだった光左代さん。国内で唯一醸造科がある東京農業大学では、日本酒や味噌、麹などをはじめ、微生物と発酵について様々な角度から学んだ。食用だけではなく、環境への応用としてさとうきびの精製時に出る廃糖蜜を使う排水処理の方法についての研究も行ったという。

そんな光左代さんが、発酵を見つめる中で気づいたことがある。

「微生物の力を借りるだけで、食べ物の味が良くなり、栄養価が高まるという付加価値がつく。それって、子育てと一緒でしょう」

素材そのものの良さに、発酵しやすい環境と時間を加えることで、さらに良さが引き出されるのが発酵食品。手をかけすぎず、一人ひとりの子どもが持つ良さが最大限に引き出される環境を用意するのが子育て。発酵を子育てに置き換えると、確かに通ずるものがある。どちらも、そのもの持つ力・発酵の力を信じる姿勢があるから、安心して待つことができるのだ。

  • カフェから、教室から… 発酵で膨らむ豊かな生活

風味も触感も抜群の「こねないパン」 HP発酵家族の料理教室 より

光左代さんは現在、「発酵家族の料理教室」を都内各所で開きながら、週に一度は地元のカフェで「85家族」として発酵料理を提供している。

会場の「カフェといろいろびより」は、日替わり店主によるカフェやミニショップが開かれるスペースで、オープン以来さまざまなワークショップやイベントで賑わう。「85家族」は隔月でカフェを、また月ほぼ2回のペースでワークショップを開催している。

ライターも、カフェメニューを食べてみた。甘酒入りのオムレツに、甘酒酵母のパン、麹ドレッシングのサラダ。いずれも、優しい中にほのかな甘みや深みがあり、一口ごとに口の中が幸せになるような一皿だった。ベリーの入った甘酒は、これまでの甘酒に対するイメージが覆るさわやかさ。ベリーの酸味と麹のマイルドな甘みが合わさり、新しい風味を生み出していた。

カフェでの「発酵家族ランチ」

料理教室では、自分で削ったかつお節をつかったふりかけ作りやポットで作る甘酒、麹を使った簡単料理レシピ、タッパーひとつでできる「こねないパン」など、アイデア豊富な発酵料理を教えている。光左代さんの日々のひらめきや研究の中から次々に生まれるレシピは、どれも「普段づかい」の目線で、作る人に優しい。

「道具、食材、動線、それぞれが一番やりやすい配置ややり方があるの。それだけで全然気持ちが違うから」

公開講座以外にも、プライベートレッスンやグループレッスンを自宅でお願いすれば、そのキッチンに最適な収納や配置についてのアドバイスももらえるという。

多忙な中、休日の楽しみは「カフェ巡りや、ハンズやLOFTなど(の生活雑貨)を見て歩くこと」。人が作ったおいしいものをいただき、インテリアや色づかいを楽しみながら、自身の仕事で試したいことが沸いてくるという。「発酵家族」のHPやFacebook(※)にアップされる料理写真も、色鮮やかで美しく、目に楽しい。

「子どもも大人も、心の余裕がないと覚えられない。だから、義務感でなく楽しく前向きに試してみてほしい。パンのように、気持ちがふんわり膨らむような感じでね」

今後について聞くと、「書籍化」との言葉が返ってきた。自身の体験を余すところなく生活の知恵に発展させる光左代さん。その知恵は今後も益々増え、多くの人の生活を豊かに膨らませることだろう。

カフェといろいろびより にて

※HP「発酵家族の料理教室」 http://epoch-hakko.net/

FBページ「発酵インストラクター青木光左代の発酵生活」https://www.facebook.com/hakkoseikatu/?fref=ts

この記事を書いた人

青葉まどか

仙台市出身。趣味は本、音楽、映画、という典型的インドア(元)少女。ライター。腰痛持ちだが、時々喫茶店で手伝いもする。「やるなら楽しく、真剣に」がモットー。

きらリズムメールマガジンのご案内

■きらリズムメールマガジンについて

きらリズムでは、月に2回メールマガジンを発行しています。
読者の方の好みや嗜好に合わせて、旅行やグルメ情報を中心にお送りしています。
中にはメルマガ限定の情報やサービスなどもございますので、お気軽にご登録ください。

■メルマガご登録の皆様にプレゼントを用意致しました。

50代からの人生をより一層楽しんで頂くために、
旅行、グルメ、習い事、健康などの分野で
50歳以上の方だけが利用することが出来る限定のサービスを
1つのデジタルブックにまとめ上げました。

きらリズムメールマガジンにご登録頂いた方全員に、
そのデジタルブックを無料で差し上げています。

・1回の旅行で新幹線代が5,000円も割引になるサービス
・旅行期間中、JRのグリーン車が乗り放題になるサービス
・今話題の◯◯を返すことで得られる200以上の特典

などなど、幅広くお得な情報を詰め合わせています。
この機会にぜひご覧ください。

■登録時の迷惑メール設定について

メルマガのご登録直後に、登録御礼のメールをお送りしております。
そちらに今回ご用意したプレゼントのお受け取りに関するご連絡もございます。
迷惑メールに入ってしまう可能性もございますので、登録後には一度メールをご確認ください。

迷惑メールにはいっていましたら、お使いのメールソフトで「迷惑メールではない」のボタンをクリックして頂けますと幸いです。
※詳細な設定方法に関しましては御礼メールに記載致します。

tabitokushuに関してのおすすめ記事

tabitokushu ー 記事一覧

最新記事一覧