インスタグラムで広がる 「好き」の心とおもてなし 〜 海外旅行者向け料理教室 At home with Nahoko  主宰 さなみなほこさん〜

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インタビュー

東京、国立市で海外旅行者向けの料理教室を始めた、さなみなほこさん。Facebookなどで紹介される彩り鮮やかな料理は和食から韓国、中華、エスニックと幅広い。なほこさんがこの教室を始めるきっかけとなったのは、自身が愛好するプラスチックジュエリーを紹介するインスタグラム※での繋がりだった。

興味深い経緯から教室の様子まで、詳しく話を聞いた。

※写真を撮影、加工できるアプリ。撮った写真はインターネットを通じて世界中にシェアすることができる。また、フォローした撮影者の写真はタイムラインに流れてきて、気に入ったものには「いいね」やコメントを残したりすることもできる。

アイルランドからマルタ島まで 出会いと発見「料理が好き!」

アイルランドは、さなみなほこさん(以下、なほこさん)にとって特別な場所だ。会社勤めをしていたときに一度、2週間の滞在をした際に感じた人の優しさ、のんびりとした雰囲気が気に入り、再び訪れたのは結婚を決めて仕事を辞めた直後のこと。「夫となる人の仕事で海外に行くことはまずないだろうし、長く行くなら今がチャンスだ」と、単身で半年間、アイルランドへのプチ留学を決行した。

(左)留学先でクラスメイトと。後列左端がなほこさん (右)留学先で仲間と。左から2番目がなほこさん

留学中に、ルームメイトだったスペイン人からよい場所だと勧められ、マドリッド、ローマを経由してマルタへも訪問。その道中で訪れた韓国、フランス、スペイン人の友人の家では個性あふれる各国の料理をごちそうになった。スペインでは素焼きにしたパプリカ、フランスでは生地に生みたての卵とビールを使ったクレープなど、後に再現しようとしても難しい、その土地土地のおいしさがあったという。この時の経験で、一層「料理って楽しい、おいしい」という気持ちが強くなった、なほこさん。

帰国後はご主人の仕事のサポートをしながら、合間に韓国の友人のところへ遊びに行ったり、料理を習ったりして、「料理が好き」という想いを温めてきたのだった。

 プラスチックジュエリーの世界から料理教室を開くまで

カラフルでユニークな形が楽しい、プラスチックジュエリー

ところで。 なほこさんは、実はイギリスのプラスチックジュエリー愛好家の間ではちょっとした有名な日本人だ。なほこさんは、Tatty Devine というプラスチックジュエリーブランドの作品に魅了された一人。独創的で、かわいくて、色鮮やかで自由なデザインのアクセサリーの虜になり、購入したいと日本で探すも、どれも値が張ってたくさんは買えない。そこで、感覚的に海外が近いうえに英語にも抵抗がないなほこさん。イギリスから直接購入してみたところ、思いのほか気軽な値段で手に入れることができたのだという。そこから少しずつ、個人輸入をスタートした。

集まったジュエリーをインスタグラムに載せたところ、なほこさんの写真はイギリスのプラスチックジュエリー愛好家たちに一気に広がった。愛好家によるファンクラブ(Tatty Devine Lovers United)にも入り、ジュエリーの収納方法や「つい買いすぎちゃう」といった話などをファン同士で交換するようになった。

Lavidriola にアイデア提供した作品の一例。「日本らしさ」が楽しい

こうした活動が縁で、スペインのLavidriola というジュエリーブランドから依頼があり、日本をテーマにしたシリーズのアイデアを提供するという仕事にも発展した。SNS上には国境もなく、地理的な制限も時間の制約もない。「好き」をひたすら表現した先には、海を越えた仕事が待っていた。

こうして海外から見た日本に対するイメージや彼らの日本文化への関心に触れる中で、なほこさんの中に「海外の人を相手にしたことをもっと何かできないか?」という想いが沸いてきたのだという。しかし、自分には作って売れる商品があるわけではない。では一体何ができるだろう? そう考えたとき、浮かんできたのが「料理」だった。

At home with Nahoko スタート

鮮やかなテーブルコーディネイトも魅力

 

日本を訪れる外国人向けの料理教室は、実は東京だけですでに100以上ある。また、日本に1週間滞在する海外からの旅行者は、東京に約3日を費やし、残りは京都など他の地域に足を延ばすことが多い。東京で過ごす3日のうち、1日を都心から30~40分かかる一軒家で過ごす人などいるだろうか。

なほこさんは、海外旅行者の動向をリサーチして熟考し、自宅で一緒に日本の料理を作り、味わうという料理教室 “At home with Nahoko”  を始めることに決める。作るのは、和食の中でも少し華やかな「串揚げ」や「寿司ケーキ」など。

その彩り豊かで目を引く料理写真は、プラスチックジュエリーで鍛えた「インスタ映え」と、なほこさん独自のセンスの賜物だ。

海外からのゲストにも好評な、寿司ケーキ

最初のゲストは、プラスチックジュエリーを通じて知り合ったイギリス人のカップルだった。日本をハネムーン先に選び、行きたい場所に高円寺の古着屋や中野ブロードウェイなど、少し個性的でマニアックな場所を挙げているのを見て、なほこさんは二人を初めての客として招いた。どんな料理が嬉しいか、どんな体験をしたいかなど、率直な意見を聞きだす中で彼らに言われた、「イギリスでも体験型の旅行が流行っている。きっと、成功するよ!」という言葉は、なほこさんを強く勇気づけた。

早速、インスタグラムで日本に興味を持っていそうな友達に  At home with Nahoko  を紹介したところ、数人から「行ってみたい」という返事があったという。

「同じ趣味を持っていて、好きなものを表現した写真を見たり、長い時間かけてやりとりしたりしていると、なんとなくどんな人かわかってくるんですよね。 『あ、趣味が合いそう!』とか。全く知らない外国の人が家に来るというより、ずっと抵抗が少ないですし、向こうもそうじゃないかと思うんです」

となほこさんは言う。

その言葉通り、やがて、イギリス、韓国、といった国々からゲストがやってきた。体験の模様はインスタグラムでまた拡散され、なほこさんのことも「日本人のいい人の典型のような人!」というコメントと共に紹介された。

各国からのゲストと共に作り、食べる。みな、とても楽しそう

こうして教室の様子は世界にシェアされ、広がっていった。一方、近くに住む日本人の知り合いにもその噂は広がり、日本人の受講生も増えてきているのだという。

おもてなしの心 楽しむ心

ライターがいただいた、タコライス。 アボガドと後で添えたヨーグルトクリームが抜群に合う (撮影:ライター)

  

なほこさんの料理のこだわりは、加工食品や化学調味料などを使用せず、産地のはっきりした、できるだけオーガニックなものを使うこと。また、グルテンフリーも特徴だ。「日本で唯一自給率が100%に近い、米を使わない手はないですよね。米粉で作ると、餃子の皮もモチモチとして、とてもおいしいんですよ!」と、なほこさん。

今後については、せっかく都心から足を延ばしてもらうので、宿泊もできるような形にすることも考えているという。折しも、ご自宅が面する通りでも、カフェやアクセサリーショップ、キッチン用品店などの事業者同士で繋がって訪れる人を増やそう、という動きが興ってきたのだという。なほこさんの行動力と実行力の波に合わせて、周りの状況も膨らんでいく。そんなパワーを感じた。


ライターの取材日にも、料理を用意していただいた。目に鮮やかなテーブルコーディネイトに、スパイシーだけれどまろやかな、絶妙な味わいのタコライス。とても軽やかにいきいきと話すなほこさんと食べていると、こちらの元気まで引き出されるようだった。行動力と想像力、そして「好き」を貫く強さが、多くの縁を気持ちよく引き寄せるのだろう。

(写真は最後の一点以外、全てなほこさん提供)

At home with Nahoko

レッスン日のリクエストは2名様より レッスン費 1回5000円(体験 4000円)
お問い合わせ(メール): napodondondon@yahoo.co.jp

Facebook: At home with Nahoko

Instagram: at_home_with_nahoko


この記事を書いた人

青葉まどか

仙台市出身。趣味は本、音楽、映画、という典型的インドア(元)少女。ライター。腰痛持ちだが、時々喫茶店で手伝いもする。「やるなら楽しく、真剣に」がモットー。

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