知的美人への旅~ 立川まんがぱーく

カテゴリ名:
心の豊かさ

まんが、読んでいますか?

読む方と全く読まない方とではっきり分かれるまんがですが、最近では料理やお酒、旅行や歴史をはじめ、よりマニアックで専門性の高い作品も多く、娯楽としても知的好奇心を満たすものとしてもおススメです。

とはいえ、まんがを読む習慣がない、離れて久しいといった場合、今になって購入したり漫画喫茶にでかけたりすることに抵抗があるという方もいるでしょう。

しかし、そんな方でも明るくオープンな空間で柔らかにまんがを楽しめる場所があるのです!

というわけで、今回は「立川まんがぱーく」をご紹介します。

◆昭和の古民家のような、広々としてくつろげる空間

「立川まんがぱーく」は、東京都立川市の旧市庁舎を再活用した「子ども未来センター」の一部として、2013年にオープンしました。同じ建物の中には子育て支援や市民活動支援などのための空間もあり、様々な目的を持った市民が集まる複合施設となっています。「来場される方にとって『来たらワクワクする』場」を目指している(子ども未来センターHP※より)というこの施設は、現在では再現が難しい設計をうまく残しつつ、吹き抜けやテラスなどを新設して明るく開放感のある場としてリノベーションされており、一見の価値ありです。

(※子ども未来センター http://t-mirai.com/about/

「立川まんがぱーく」の入場券は、2階にある入口で脱いだ靴をロッカーに預けることで手にすることができます。ロッカーのカギと一体になったカードをかざしてゲートの中に入ると、広々と明るい部屋の中にはまんがでびっしりの棚が並び、板の間と畳スペースのあちこちに赤い座布団が見えます。大人が座ってちょうど入れるくらいの押し入れのような、2階建ての「個室」にドアはなく、空いているかどうかは隙間から見える人影で判断するというファジーさ。読みたい一冊(数冊でも)を手にしたら、あとは好きな場所で好きな姿勢でどうぞ、というのがこちらのスタイル。

あちこちから人の膝や寝そべる足の裏がちらりと見えるというのは、不思議な安らぎがあります。「個室」の中には、数人でくっつきあって入る子どもたちの姿もありました。

「昭和の古民家」をコンセプトとしたというこの空間。「まんがを家や自分の部屋で読むような場所を再現したい」と考えたものだと話してくださったのは、統括マネージャーの福士真人さん。「漫画喫茶に入ることには抵抗があるけれど読みたい、という方が来やすく、友達と一緒に楽しむこともできるような空間になればいいと思っています」(福士さん)

私が訪れたことがある漫画喫茶は一様に暗く、たまに利用する個室はドアやカーテンで仕切られていました。それはそれで、「完全に“一人で”没頭できるぞー!」と気合が入ったものですが、「まんがぱーく」は言うなれば、友だちの家でそれぞれがまんが本を読んでいたときのような、人の気配を感じながらくつろいで読むという在り方。他人との境はあいまいですが、くつろいで読むために互いに侵さないという不文律があるように見えました。実際、これまでにトラブルは混雑時の場所取りに関するものが数回あったくらいで、ほとんどないとのこと。「日本ならでは、なのかもしれませんね」と笑う福士さんに、この読書スタイルこそ「まんが文化」なのかもしれない、と思ったのでした。

◆ビールを片手にテラスでまんが! 贅沢な時間の過ごし方

取材日は平日の午後。「個室」は6割、畳や椅子は2割という占有率で、ゆったりとした時間が流れています。頭に浮んだタイトルも探せばほぼ棚に揃っており、選び放題読み放題です。

「ご家族でいらっしゃるのでなければ、大人の方は平日がおススメです。ゆっくり好きなまんがを読めますよ」(福士さん)

平日は大人の利用が8割、中でもリタイアされた年代では平日パスポートを購入して頻繁に訪れる方もいるとか。新聞、雑誌も充実しているので、コーヒーを片手に情報収集をし、お昼を食べたらちょっとうたたね、起きたらジュースとポップコーンを傍らに置いて、まんがタイム……。そんな贅沢な過ごし方もできてしまいます。

そう、こちらでは飲食も可能なのです。館内には「カフェ・マンガ」が併設されており、少々お行儀が悪いですが、カレー(中サイズなら280円)やラーメン(250円)をいただきながら読むことも。さらに、ビール(250円)やハイボール(180円)などのアルコールも用意されています。(※全て入場者価格)

テラス席でビールを片手に「ベルサイユのばら」を読破する昼下がりなんて、いかがでしょう!?

◆気になっていたタイトルを探すか 偶然の出会いを楽しむか

読みたい本をチェックしてある方は、棚の上部に書いてあるジャンルと作者名(棚ごとに、あいうえお順)から探すか、検索端末を利用しましょう。行ってみたはいいけれど、これだけたくさんあると何を読んだらよいのかわからない、という方は、「まんがぱーく」の特集棚や「マンガナイトの本棚※」から選んでみるとよいですよ

(※マンガを介したコミュニケーションが生まれる状況をつくることを目的に活動しているユニット「マンガナイト」の選書によるまんがを収めています)。

この日、都合により2時間という短い滞在時間の中で私が読んだのは3冊。魔夜峰央(代表作「パタリロ!」)が30年前の刊行ながら再び脚光を浴びている問題作『翔んで埼玉』(宝島社)、萩尾望都が東日本大震災を題材に描いた『萩尾望都作品集 なのはな』(小学館)、何気なしに手に取って非常に良かった志村貴子『娘の家出』(集英社)。

あまりにも個人的なセレクトなので内容は割愛しますが、畳に座って→テラスでカレーをほおばりながら→「個室」で縮こまりながら読んだ3冊は、日常から完全に切り離されて新しい視点と、心の広がりをもたらしてくれました。大げさのようですが、久しぶりに頭の中に新しい風が吹くような爽やかな気持ちを味わいました。

まんが好きな方も、初めての方も、行けば裸の心で楽しめること請け合いです。足を運んでみてはいかがでしょうか。

【立川まんがぱーく】

住所:立川市錦町3-2-26子ども未来センター2階
TEL : 042-529-8682
webサイト:http://mangapark.jp/

この記事を書いた人

青葉まどか

仙台市出身。趣味は本、音楽、映画、という典型的インドア(元)少女。ライター。腰痛持ちだが、時々喫茶店で手伝いもする。「やるなら楽しく、真剣に」がモットー。

▼青葉まどかの「気になるひと・こと・場所」を巡る▼

ボードゲームの店「すごろくや」で聞いた!大人の女性も絶対楽しいゲームの世界
勤め先から帰る中央線で、高円寺の駅に停車するたびに目に入る看板「すごろくや」。気になりつつ、仕事で中央線を使うことも減り、確かめることもない...
知的美人への旅~ 東京マガジンバンク(都立多摩図書館)
雑誌、好きですか? 私は大好きです! 新卒入社で配属されたのが雑誌を扱う部署だったこともあり、近年の雑誌離れや雑誌の売り上げの低迷とい...

最新記事一覧